お菓子の家(Tem.de Suc.テムデサック)
 
「お菓子の家」は、閑静な住宅街に建つ店舗兼個人住宅。この「お菓子の家」は、もともとパティシエが兄弟と共に幼少期を過ごした懐かしい家。でも訳あって長らく空家になっていました。娘さんがパティシエとしてひとり立ちするにあたり、一部店舗に改装してお菓子のアトリエを開きました。さらに両親も戻り、パティシエも含め新たに3人の家族が住む為に増築する事になりました。既存住宅の構造は軽量鉄骨ですが、木造専門の大工さんに施工を依頼する事になり、構造的条件をクリアする為、離れを作る事を提案。そして離れは外壁をシックな色使いの板張りとし、存在感がありながら裏山の緑の風景にもしっくり馴染むデザインとしました。構造的には、切り離しつつ、1階も2階もデッキで行き来できるようにつながりを作ることで、母屋と離れの心地よい距離感を実現しています。

パティシエの小さい頃の思い出が、いっぱい詰まったこの家に再び明かりをともし、家族の新しい生活が始まっています。2階のデッキから、お父さんは緑の山並みを眺めながら念願のおいしいビールを楽しみます。1階のデッキでは、お母さんがお友達と日陰でのんびりティータイムを楽しみます。休暇には、今は遠くにいる兄弟たちも新しい家族を連れてやって来て寛ぎのひと時を楽しみます。離れの外壁の板張りは、おいしそうなチョコレート色。ヤマモモの大木の陰に、そっと寄り添う黒子(木箱)のイメージです。

2013第4回佐賀の家賞知事賞受賞
設計/エムデザインスタジオ
写真/FAKE.大野博之
 
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